「電気の缶詰」と呼ばれるアルミニウム・特徴編・

佳秀工業では、金属・非金属を含めて年間に約400種類の材質の加工を行っており、ウォータージェット部門ではクラッド鋼やチタンなどの難削材や極厚・極薄材など、その他の加工機では難しい素材も数多く取り扱っています。
ウォータージェット加工.comではウォータージェットの加工方法や加工可能な材質などに関して解説しています。
今回は【「電気の缶詰」の異名を持つアルミニウム】シリーズの特徴編です。

アルミニウムの特徴と種類

5つの大きな特徴

◆ 特徴1:軽い

アルミニウムの原子量*は約27。
これは鉄(約56)や銅(約64)に比べて非常に低い数値で、アルミニウムがマグネシウムに次いで2番目に軽い金属であることを表しています。

*原子量:原子中の同位体*の存在比(割合)から求められる相対質量*の平均値。
*同位体:同じ元素(C、O、などの物質種)を構成する原子ではあるが、原子核中の中性子数(質量)が異なるもの。
*相対質量:原子は非常に小さな粒子で重さ(g)で示すと扱いが難しいことから質量数12の炭素原子(12C)を基準として各原子の質量を相対的に表した数値。単位はない。

そのため軽量化が求められる新幹線や飛行機、自動車などのボディーや日用品、スポーツ器具などに幅広く使用されています。

◆特徴2:加工性が良い(柔らかい)

ヤング率*が鉄の3分の1程度と低く柔らかいアルミニウムは、その種類によっては高負荷な構造部には適さないものもあります。
ただ柔らかさに加え靭性が高い(粘り強い)ことから塑性加工が行いやすく、複雑な形状の押出成形や圧延成形によってアルミホイルのような薄い箔状の加工などを行うことができる素材です。

*ヤング率:縦弾性係数とも呼ばれる材料の剛性を表すときに用いられる定数。
数値が高いほど応力に対する歪みが小さく(変形しにくい)、低いほど応力に対する歪みが大きい(変形しやすい)ことを示しており、例えばダイヤモンドは約1000、弾性ゴムは約-3で表される。

◆特徴3:高温に弱く、低温に強い

アルミニウム(合金含む)の融点は約500℃~660℃と他の金属と比べて低く、これは優れた加工性と同時に高温に弱いことを示しています。そのため200℃付近から機械的強度が低下し始め、切断や溶接時の熱で歪みや変形、割れが生じることがあります。
一方でアルミニウムは鉄鋼と違い温度が下がるほど強度を増していくため、液体窒素(-196℃)や液体酸素(-183℃)などの極低温物質を保存するタンクなどに活用されています。

◆特徴4:電気伝導率が高い

高圧線の画像
freepik.com より

街中に電力を届ける電線には主に銅が使用されていますが、これは電気伝導率が高く、金や銀よりも安価で手に入るからです。
アルミニウムの電気伝導率は銅の6割程度ですが、体積あたりの重さが銅の約3分の1と軽く、重さに対する通電量は銅の約2倍になります。
大量に送電する高圧線は非常に太く銅では重すぎるため、高圧線の99%がアルミニウム製のものを使用しています。

特徴5:耐食性が良い

アルミニウムはイオン化傾向が高い金属のため、空気中で速やかに酸素と結合し、材料の表面に酸化皮膜(酸化アルミニウムの膜)を生成します。
酸化被膜の内側はきめ細かい障壁層(バリヤー層)になっており、素材と密着して安定した酸化状態を維持します。
アルミニウムの耐食性が高いのは、一定以上には酸化が進まない「不動態化」と呼ばれるこの現象のためです。
またアルミニウムの耐食性はその純度に比例して高くなります。純アルミニウムの1円玉が何年経っても錆びないのは表面を守る酸化被膜に影響を与える不純物を含んでいないからです。
あまり耐食性が高くないアルミニウム合金は、人工的に被膜を生成する「アルマイト処理」を行うことで耐食性が向上します。

種類について…

今回紹介した5つ以外にも、アルミニウム合金には様々な特徴があります。
次回のブログではもっと詳しくA1000系からA8000系アルミニウム合金についてご紹介します!

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佳秀工業株式会社 ウォータージェット部門ではウォータージェット加工機を5基保有し、国内最大級の生産能力を有しています。
約20年間培ってきたノウハウで鉄・非鉄・難削材だけでなく、他の加工機では難しい材料の切断も可能です。
当社のウォータージェット加工では、開先の同時加工や後工程の少ない切断を行うことで納期の大幅短縮を実現いたします。
手のひらに乗るサイズの単品から大型の量産品まで、数多くの受注に対応しています。

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