悩み:【材質:ハステロイ60㎜】
従来はワイヤー放電加工で対応していたが増産につき時間短縮を図りたい。
回答者:ウォータジェットカンパニー支配人
―ハステロイといえば耐食性・耐熱性に優れたニッケル合金ですね。
難削材と呼ばれる金属の一種ですが、加工において何が難しいのでしょうか。
支「切削加工において、簡潔に言うと、材料の硬度が非常に高くねばりが強いため、刃物がすぐに消耗してしまい、加工送り速度も極端に遅くなります。
特に厚板となればその問題は顕著となるため、ワイヤー放電加工が用いられることも多いです」
―なるほど。
ではそのハステロイのご相談について、今回の具体的な内容を教えてください。
支「もともと難削材のハステロイですが、板厚が60㎜ということもあり従来はワイヤー放電加工のみで対応されていたそうです。
しかし制作数が増加し、コストダウンとリードタイムの短縮が必要になったとのことでウォータージェット加工でのご相談を受けました」
―ワイヤー放電加工はとても精度の高い加工と聞きますが、ウォータージェット加工でも同等の精度が出るということですか?
支「やはり精度でいうと高いのはワイヤー放電加工*です。
ただ本件については製品の要求精度がウォータージェットでも対応可能な精度であったためお引き受けしました。」
*加工精度…ワイヤー:±0.05㎜以上 WJ:±0.1~0.5㎜(*材質・板厚で異なる)
―実際に加工してみて分かったメリット・デリットを聞かせてください。
支「メリットで言うと、大きく ①加工時間の大幅短縮 ②コストダウンです。
まず加工時間ですが、高精密がゆえにワイヤー放電加工は極端に時間を要します。
細かく緻密に仕上げていくからですが、今回のようにウォータージェット加工の精度で問題がない場合、作業時間が約10分の1まで短縮できます。
ワイヤー放電もウォータージェットも加工時間=コストですから、これはかなりの加工賃削減となります。
また、ウォータージェット加工は大きな板から加工が出来るので、製品歩留まりが向上も強みです。
ハステロイだけでなく、インコネル等の高機能材など、高価な材料を扱う場合は非常に効果が高いと思います」
設備 | 機種 | ワークサイズ | メーカー | 台数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
3次元ウォータージェット加工機 | Mach500シリーズ 8030 | 8000×3000 | フロージャパン | 1 | 600MPa/板厚300mm |
3次元ウォータージェット加工機 | Mach500シリーズ 4030 | 4000×3000 | フロージャパン | 1 | 600MPa/板厚300mm |
ウォータージェット加工機 | Mach 3シリーズ 7320b | 7900×2000 | フロージャパン | 1 | 600MPa/板厚170mm |
ウォータージェット加工機 | Mach 3シリーズ 4020b | 4000×2000 | フロージャパン | 1 | 414MPa/板厚170mm |
ウォータージェット加工機 | Mach 3シリーズ 3015 | 3000×1500 | フロージャパン | 1 | 600MPa/板厚300mm |
支「デメリットは、前述したように精度ではワイヤー放電に劣ることですね。
今回はご相談の要求精度がウォータージェット加工と合致したため、自社の設備を生かしお役に立つことが出来ました」
―ウォータージェット加工も思っていた以上に精度が高いことが分かりました。
材質を選ばないワークサイズの大きさも魅力の1つですね。
支「そうですね。
まだまだウォータージェット加工は知られていない部分があると思います。
金属だけでなく、ゴムキャタピラ切断のお問合せにも対応した実績もあります。
素材やサイズ、加工賃など、気になることがあれば何でもご相談いただければ嬉しいです」
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